伝統ある、緑豊かな美しいまちを地域みんなで守っていくために
(戸畑区天籟寺地区自治会)
【天籟寺地区とは】
天籟寺という地名は、学問の神様・菅原道真公が大宰府に赴く際、宿をとられたお寺「天籟寺」の名前に由来してつけられたと言われています。没後その遺徳を偲んで、天籟寺があった場所に菅原神社が建立され、ここには、手洗いをされたとされる菅公御手洗の池があります。
菅原神社は、ユネスコの世界無形文化遺産に登録された戸畑祇園大山笠の1つである「天籟寺大山笠」の御宿で、毎年7月になると四方から響く太鼓や鉦の音は、二百年を超える夏の風物詩となっています。大山笠、子供山笠、小天山笠が立ち並ぶ様はまさに勇壮です。
菅原道真公ゆかりの本地区は、小・中学校をはじめ、3つの高校が存立する文教地区で、保育園、児童館など子育てがしやすい施設環境が整っています。
また、四季折々の美しい花が咲き誇る区のランドマーク「夜宮公園」や戸畑区の潤い「天籟寺川」など豊かな自然に恵まれ、未来を担う子どもたちを育むに相応しいまちです。
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菅原神社
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戸畑祇園天籟寺大山笠
【天籟寺川を美しくする会の発足】
今回は、本地区の取組みの1つである天籟寺川の清掃活動「天籟寺川を美しくする会」の活動をご紹介します。
天籟寺川
当会は、自治会を中心に、まちづくり協議会、地域のボランティア等で構成され、毎月1回、天籟寺川と御手洗池の清掃を実施しています。
昭和30年当時の天籟寺川は、生ごみを夜間に捨てたり、乳白色の水が1時間近くかけて流れてきたりと、川の中に入るのが憚れる異臭も漂う川でした。
地域では、不衛生な水環境が住民の健康被害を及ぼすのではないかと深刻に受け止め、解決に向けてなんとかしたいと、行政の指導も受けながら、協議を重ね、当会を発足。川に接する工事現場の調査や、生ごみを流さないよう啓発チラシの配布・監視など地域みんなで協力して取組んだ結果、川へのごみ投棄は劇的に減りました。次のステップとして、排水溝の清掃や殺虫剤の散布等を開始するなど美しい川を目指して、活動を継続。
昭和34年には、戸畑区衛生協会連合会に加入し、組織拡充による活動体制を確立。行政に河川改修を強く要望して護岸整備が進んだこともあり、魚や水鳥などの生き物が集まる川に生まれ変わりました。
■天籟寺川を美しく持続するために ~新たな担い手も登場~
天籟寺川の清掃活動
よみがえった川を守っていくために、当会は、暑い時期も寒い時期も継続して河岸の除草や川に捨てられたごみの除去作業を行っており、地域の環境美化に取り組んでいます。
そのような中、障害者自立訓練施設「飛翔館」から、利用者さん達をぜひ河川清掃に参加させてほしい!との申し出をいただきました。
利用者さん達にとっても良い経験の場になるし、高齢化が進む当会にとっても新しい担い手は大変ありがたく、大歓迎!水を怖がる子、ぬれるのを嫌がる子、段を上れない子など、怪我をしないか皆で見守りながら、一緒に楽しく活動しています。
清掃が終わった後、美しくなった川を眺めながら、みんなでやりとげた達成感で、晴れ晴れとした笑顔。これが次回活動のばねになっています。
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川の中に入って作業する飛翔館利用者さん
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活動後の晴れ晴れとした笑顔
■みんなの力で美しい地域を守る
今年度(R4)は、長年の功績が認められ、県知事から感謝状を頂きました。
自治会を中心としたメンバーで発足した、天籟寺川を美しくする会が長年取り組んできた天籟寺川は、私たちの生活や文化に深く結びついており、心の安らぎや憩いの場になっています。
このような取組みは、天籟寺小学校と戸畑高等学校の生徒さんと地域が一緒に清掃活動を行う「緑の少年少女パトロール隊」や、街中の緑を増やすふれあい花壇づくりなど、世代を越えたつながりの輪を大切にしながらのまち美化活動に拡がっています。
天籟寺大山笠の歴史と伝統による絆が息づく熱いこのまちを、これからも地域みんなで力をあわせて美しく守り、次世代に誇りをもって受け継いでいきたいと思っています。